年次点検や竣工時の耐圧試験では、試験対象や設備の構成によってさまざまな配線を使用します。
私自身、最初から現在の耐圧試験セットを使っていたわけではありません。
実際の現場で耐圧試験を行う中で、
・必要な配線が足りない
・試験準備に時間がかかる
・配線同士が絡まって取り出しにくい
・試験終了後の員数確認がしづらい
といった経験をしながら、少しずつ配線を追加し、収納方法も改善してきました。
今回は、私が耐圧試験を安全かつ効率的に行うために準備している専用の配線セットと、これまでに行ってきた改善について紹介します。
【写真:耐圧試験セット全体】

現場に合わせて必要な配線を準備
耐圧試験では、現場によって試験対象が異なります。
例えば、
・引き込みケーブル
・PAS、UGS
・変圧器
・コンデンサ
・LBS
・キュービクル内の高圧機器一括
などです。
設備の構成によっては、三相を短絡するための配線や、複数の機器を接続するための配線、接地を延長するための配線などが必要になります。
現場に行ってから「配線が足りない」ということがないように、これまでの経験をもとに必要な種類と本数を準備しています。
【写真:種類ごとに並べた配線】

シールド付きネオン線で試験準備の手間を軽減
耐圧試験機から被試験物へ試験電圧を印加するために、シールド付きネオン線を使用しています。
6,600Vの高圧設備では、10,350Vの試験電圧を印加することがあります。
以前は自作したネオン線を使用していたため、高圧印加線が他の機器に触れないように、防護シートを使用したり、ビニールテープで配線を宙吊りにしたりして離隔を確保していました。
現在はシールド付きネオン線を使用しています。
シールド部分を接地することで、以前よりも配線途中の離隔確保にかかる手間を減らすことができ、試験準備がしやすくなりました。
もちろん、端末部や接続部分などは高電圧が印加されるため、適切な離隔を確保して試験を行います。
【写真:シールド付きネオン線】

三相短絡を基本にして耐圧試験を実施
私は耐圧試験を行う際、基本的に三相を短絡した状態で試験しています。
引き込みケーブルを三相一括で試験する場合には、3線短絡線を使用します。
また、PASと引き込みケーブルが接続された状態で耐圧試験を行う際には、特に注意が必要です。
VT内蔵形のPASでは、一相ずつ試験電圧を印加すると、VTの相間に電位差が生じ、焼損につながるおそれがあります。
そのため、試験対象だけでなく、接続されている機器や設備構成を確認したうえで試験方法を決めることが大切です。
【写真:3線短絡線】

複数の機器を一括で試験するための短絡線
竣工現場などでは、キュービクル内の複数の高圧機器を一括して耐圧試験することがあります。
例えば、コンデンサ回路にVCSが設置されている場合、受電前で制御電源がなく、VCSを投入できないことがあります。
その場合は、VCSの一次側と二次側を専用の短絡線で接続し、回路をつないだ状態で一括して耐圧試験を行います。
また、複数の機器を単体でまとめて耐圧試験する際にも、機器同士を接続するための短絡線を使用しています。
現場によって必要になる本数が異なるため、過去に不足した経験をもとに少しずつ本数を増やしてきました。
【写真:ネオン短絡線】

接地用の配線も専用で準備
耐圧試験では、試験機や被試験物の接地も重要です。
複数の機器を単体で試験する場合に備えて、キュービクル内の接地バーから試験場所まで接地を延長できる線を準備しています。
その先端には平編みメッキ線を取り付け、アースのターミナルとして使用しています。
ここから試験機や被試験物などへ複数のアース延長線を接続できるようにしています。
接続後は同通を確認し、確実に接地が取れていることを確認してから試験を行います。
【写真:平編みメッキ線付きアース】

試験終了後の員数確認も重要
耐圧試験では、試験そのものだけでなく、終了後の確認も重要です。
試験に使用した短絡線や接地線をキュービクル内に残したまま受電すると、短絡事故などの重大な事故につながるおそれがあります。
そのため、使用している配線の種類と本数を記載した員数確認表を作成しています。
試験終了後には、この表を使ってすべての配線を回収できているか確認します。
【写真:員数確認用ラミネート】

配線は種類ごとにポーチで収納
以前は配線をそのままバッグに入れていたこともありました。
しかし、その状態では配線同士が絡まりやすく、本数の確認もしづらいという問題がありました。
現在は種類ごとにポーチへ分けて収納しています。
これによって必要な配線を取り出しやすくなり、試験終了後の員数確認もしやすくなりました。
耐圧試験では多くの配線を使用することがあるため、「どこに何が入っているか」「何本あるか」がすぐに分かるようにしておくことも、安全な作業につながると考えています。
【写真:ポーチごとに収納した耐圧試験セット】

現場経験をもとに少しずつ改善
現在の耐圧試験セットは、最初からこの形だったわけではありません。
以前は自作したネオン線を使用していましたが、試験準備の手間を減らすためにシールド付きネオン線へ変更しました。
また、現場で短絡線が足りなくなった経験から、本数も増やしています。
収納についても、以前は配線をそのままバッグに入れていましたが、現在はポーチを使って種類ごとに分けています。
一度準備したら終わりではなく、実際の現場で不便に感じたことや、より安全に作業するために必要だと感じたことを少しずつ改善しています。
まとめ
耐圧試験では、高い試験電圧を扱うため、事前準備や試験方法、終了後の確認まで、一つひとつ確実に行うことが重要です。
私はこれまでの現場経験をもとに、必要な配線を追加したり、試験準備をしやすくしたり、員数確認の方法を改善したりしてきました。
現在のセットも完成形だとは考えていません。
今後も現場で不便に感じたことや改善できることがあれば、より安全で効率的に作業できるように見直していきます。
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※耐圧試験は高電圧を扱う危険な試験です。実施にあたっては、対象機器や試験器の取扱説明書、メーカー指定の試験方法を確認し、必要な知識・技能を有する方が適切な安全措置を講じたうえで行う必要があります。

